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2022年12月24日

2022年のエンタメ回顧


今年、印象に残った映画や演劇などから10本選んでみました。新作旧作を問わず、順不同です。

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ブリュノ・デュモン「ジャネット」(映画)*スクリーンに〈聖なる空間〉が立ち上がることの驚きと悦び。創意に溢れる振付けも素晴らしい。

日本のラジオ「画廊にて 他3篇」(演劇)*屋代秀樹によるコントの短編集。その悪魔的切れ味は他の追随を許さず。小劇場界でも数少ない鋭敏な政治意識を見せる。

ケリー・ライカート「ウェンディ&ルーシー」(映画)*アメリカという土地を徘徊することで練り上げられる〈アメリカ映画〉の真髄。

レオス・カラックス「アネット」(映画)*映画の冒険を成功へと導く演技、撮影、音楽の精緻なコラボレーション。

ホン・サンス「INTRODUCTION」(映画)*画面のざらついたモノクロームな質感が心に染みる。映画芸術の物質性について考えた。

シヅマ「4.48Psychosis」(演劇)*言葉と身体の関係を問い続けるタフでクールな一人芝居。原作はサラ・ケイン、翻訳・演出は辻井彰太、出演は河原舞。

肋骨蜜柑同好会「田瓶奇譚集」(演劇)*舞台劇としての「ホラー」に光を当てた画期的アンソロジー。

タル・ベーラ「ダムネーション/天罰」(映画)*ノワールな宇宙を動き回るカメラ。主人公の男が野良犬と戯れるラストカットは〈永遠〉への入口。

神威少女パンク。「通り魔の季節」(演劇)*作演の政木コヲタはカオスチックな群像劇に才能を発揮。「ガラ版トロイアの女」の演出も忘れ難い。

石ノ森章太郎&白石和彌「仮面ライダーBLACKSUN」(ドラマ)*日本軍の731部隊から新左翼のテロリズムへ、あるいは現代の排外主義…。戦後日本史の闇を切り裂く大人のダークファンタジー。

2022年12月22日

2022年の上映備簿録

今年は新旧の3作品をまとめて編集し、夏以降に3回上映した。苦労したのは圧倒的に編集だったが、俺の個人的なスキル不足もあるのでどうこう言えない。上映は年内にいろんな環境で試せたし、企画立ち上げから上映までのサイクルがまがりなりにも完了した。ただ、いくら必死に作っても最終的にイメージ通りの上映ができなければ意味がないので、その印象を記しておきたい。

1回目の上映。昔、映画の業務用試写をやっていた施設を使った。当然、とても映画の見やすい設計になっている。音響は期待以上に素晴らしかった。ただし、スピーカーがスクリーンの両端にあるらしく、座席の位置によって音の定位が大きく変わる。画面の解像感はとても高いが、なぜか明暗の調整が上手くいかず、暗いシーンが明るすぎて失望した。もともと明るい画なら「美しく高精細な」映像を堪能できる機材なのだから、暗い画面の輝度や明度を持ち上げるようなチューニングがなされているのではないか?と思った。

2回目は、大型テレビの設置されたレンタルルームを借りた。おそらく、テレビのデータ処理能力が追いついていなかった。特に、画面の明るさが安定せず、画と音の同期にも問題があった。廉価なテレビの限界なのだろう。音は良いはずがないと思ったので、自宅で使っているモニタースピーカーを持ち込んだ。パワーはないが狭い部屋だから…

3回目の上映は、基本的にレンタル使用するミニシアターだった。椅子は可動式でフロアの傾斜も緩く、多目的用途を想定していた。音響はフロント、リア、ウーハーの基本的なシステムで、音圧はイマイチ。ちょっと物足りなかったな。画面の解像感は高くないものの、1回目の上映と違い、暗いシーンがちゃんと暗かった。そこ、めっちゃ大事だ。ゆえに、1回目よりも「汚い」画に見えたが、俺は撮影用の照明も使わないし、Lo-Fiなトーンを狙ったカットも多いので、全体的には許容範囲に収まったと思う。

2回目のレンタルルームは非常手段として使えるか試してみたという感じだった。うーん、ここのテレビはやっぱり困るな…。1回目の試写室と3回目のミニシアターでは一長一短。ちなみに使用料金は後者のほうが2割以上安い。会場のアクセスも良い。それでも、ちゃんと映写の画質を調整するなら試写室がベストかな?(音響の違いが決定的)むろん、パブリックスペースとして優れた多目的シアターも捨て難く、イベントの内容によっては3回目の施設も使いたいところだ。