先日の「東京亜熱帯2025」で上映した「nest」という映画は、2006年の作品です。俺が初めて本格的に(といっても、主演の役者さんと俺の2人を中心にゲスト出演者数名という編成で)撮った自主映画でした。俺自身もまったく見直してなかった。なので、作った記憶はあるのに他人の映画を見ているような感覚もあり、それで衒いもなく「この映画良いじゃん!」と口走ったり…(笑)
文学的イメージ(フランスの詩人ネルヴァルの本に載っていた民謡の一つを引用しました)を中核に、映像自体は自然主義的なアプローチで撮影したので、時々、なんかホン・サンスの映画みたいだな…て思いました(でも、製作当時はまだホン・サンスの映画は1本も見ていなかったです)。音楽は、二本木かおりさんに作ってもらったキュートなテーマ曲の音声素材をバラバラにしてシーンの各所に配置。全体を通して、オフビートなリズムがアクセントになってるし、ユーモラスな味わいもあって、サウンドトラックもなかなか良い。
ところで、この「nest」にコスプレイヤーの集まる広場での長回しカットがあるんですが、そこで目につくのがNARUTOのキャラだったりするのも、2025年のいま見るとおもしろいです。そういう「生きた記録」であって欲しいとは考えていました。撮影自体は2005年夏なので、もう20年前、つまり、この映像の中に20年前の東京の日常の空気が生きたまま保存されている。それはたぶん、当時の「商業映画」を見返すよりもずっと自然に感じられるはずだと思うんですね。
先に「自然主義」と言ったのはそういう意味です。見終わって「撮って良かったな」と思いました。こんな作品、絶対自主映画じゃなきゃできないというか、たとえ自主映画でも、カメラ周りにスタッフが2、3人いるだけで場の空気が一変してしまうはずなので。ミニマムな映画撮影、派手さはなくとも地味に良いと思うんですよねぇ。“親密な”というより、どこまでも“無垢な”空気の漂う「お散歩映画」でした。