2021年12月21日

映画と世界像 1

Ludwig Wittgenstein(1889−1951)

1          世界は成立していることがらの総体である。

1.1       世界は事実の総体であり、ものの総体ではない。

1.12     なぜなら、事実の総体は、何が成立しているのかを規定すると同時に、何が成立していないのかも規定するからである。

1.13     論理空間の中にある諸事実、それが世界である。

1.2       世界は諸事実へと分解される。


2          成立していることがら、すなわち事実とは、諸事態の成立である。

2.01     事態とは諸対象(もの)の結合である。

2.021   対象が世界の実体を形づくる。それゆえ対象は合成されたものではありえない。

2.0231 世界の実体が規定しうるのは、ただ形式のみであり、実質的な世界のあり方ではない。なぜなら、世界のあり方は命題によってはじめて描写されるのであり、すなわち、諸対象の配列によってはじめて構成されるからである。

2.025   実体は形式と内容からなる。

2.026   対象が存在するときにのみ、世界の不変の形式が存在しうる。


2.1       われわれは事実の像をつくる。

2.11     像は、論理空間において、状況を、すなわち諸事態の成立/不成立を表わす。

2.12     像は、現実に対する模型である。

2.17     像が像という仕方で現実を——正誤はともかくとして——写しとっているために現実と共有していなければならないもの、それは写像形式である。

2.2       像は写像されるものと写像の論理形式を共有する。

2.201   像は諸事態の成立/不成立の可能性を描写することによって現実を写しとる。


出典:ウィトゲンシュタイン「論理哲学論考」野矢茂樹 訳、岩波文庫、2003年刊

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分析哲学のもっとも有名な本からの引用です。でも、俺にとっては映画理論の最重要レファレンス。自分が何を撮るべきか?撮ったそのカットは映画として意味があるのか?なんて問いは、それが世界の「像」たりえるかどうかに尽きると思うので。